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【わかりやすい】リベラルとは? 間違った使い方をしたくない人のための本当の「リベラル」の意味と使い方

 実は、リベラルとは、政治哲学が本来の形です。しかし、近年では、保守VS リベラルというように使われるようになり、そもそもから離れた使い方をし始めたことで、リベラルとは何かがわかりにくくなっています。
 そこで今回は、リベラルについて本来の政治哲学面と現在の政治使用との2つに分けてそれぞれの意味が誰にでもはっきりと分かるようにかんたん解説していきます。 

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そもそも政治哲学における「リベラル」とは?

 リベラルとは、本来、リベラリズムといい、現代政治哲学における基本的な考えの一つです。リベラリズムの他に、功利主義」「リバタリアニズム」「コミュニタリアニズム」があり、全部で4つです。
 中でも、リベラルとは、自由主義リベラリズム)を意味し、政治面では自由が保障された議会制民主主義の側面と、経済面では個人の所有を認めた資本主義の側面で構成されます。つまり、リベラルとは、個人の自由を尊重した思想ということです。もちろん、権利の裏には義務があると考えるので、自由放任で各人が好き勝手にやっていいというわけではありません。
 あくまで第一優先が個人の自由という考えで、福祉に対する考えも併せ持っています。政治哲学でいう福祉とは、社会保障や年金といった国が提供する社会インフラのことです。口語的に言えば、民間に全てを委ねて、自由だ自由だというのではなく、弱者を救済すること、国としてやるべきことはやるという考えがリベラルの思想には盛り込まれています。つまり、個人の自由に全てを委ねるのではなく、国に任せるところは任せる。したがって、リベラリズム納税を肯定しています。
 一方で、同じ自由を第一に考える思想でも福祉を否定する思想がリバタリアニズムです。リバタリアニズムはリベラルよりも一層自由を敬愛しています。リバタリアニズムでは、たとえ福祉のためであってもびた一文とも国が徴収するのは間違っている。規制を緩和し、民間に委ねることを含めて自由とする思想です。
 比較していうと、リベラリズムリバタリアニズムは同じ自由を重んじる思想であっても福祉の捉え方が異なります。リベラリズムは福祉を肯定し、社会保障のための納税を是とします。一方で、リバタリアニズムは、規制撤廃、民間主体と自由をさらに広範に主張し、福祉のための納税を否定します。ちなみに、両者ともに暴力によって勝ち取るのではなく、どちらも議会を通して思想と法により達成しようという議会民主主義の考えです。
 他、功利主義」「コミュニタリアニズムはリベラルの話をする上で、情報過多になりすぎるので別の機会に譲ります。ここでは、リベラルとは政治哲学の一つの思想であり他に3つある。それは功利主義」「リバタリアニズム」「コミュニタリアニズム」なんだと頭に留めておくだけにしましょう。
 ここまでで、政治哲学のリベラル(リベラリズム)とは何かご理解いただけたと思います。続いて、現在の保守VSリベラルという政治使用におけるリベラルとは何か?ここでいう保守とは何か?を分かりやすく対比してご説明いたします。

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政治使用される「リベラル」保守VSリベラルとは?

 保守VSリベラルは元々は、保守VS革新というイデオロギーの対立でした。現在は、そのイデオロギーの対立が終わり、元々の革新からリベラルに勢力が移り変わり、現在の保守VSリベラルという二項対立になりました。
 誤解しやすい点が、保守という言葉だからと言って現状維持、守ることと思ってしまい、だから、その反対のリベラルは色々変えていくという推測です。これは誤りです。どちらも変えたいと思う政治課題があり、維持したい課題がそれぞれ併せ持っています。
 正しくは、政治としての保守とリベラルとは立場。政治的立場が正しい理解となります。両者がどんな立場に立っているのかその根幹を知ると理解がグッと深くなります。
 では一体、保守とリベラルとではどんな政治課題で立場が違うのでしょうか。理解しやすくするために最初に答えをいってしまいます。現在の政治における保守VSリベラルでは1.経済政策と2.憲法(外交・安全保障政策)の2つの政治課題において大きく立場が異なります
 まず、「保守」の立場ですが、経済政策では、市場原理を重視し、政府の役割を制限しようとする「小さな政府」志向です。具体的には、規制緩和、歳出削減といった「小さな政府」を目指す立場です。政府は国民の生活や企業活動にあまり関与せず、税金や社会保険料といった国民負担を小さくしようという考えです。つまり、現在の年金や健康保険といった社会保障などは自己責任で賄うという考えです。これは、政治哲学でいうところのリバタリアニズムの考えの立場です。加えて、外交・安全保障政策では、憲法9条を改正し、自衛隊の存在を明記するという改憲派の立場です。
 ただ保守だからといって守るというのではなく、同じ政治的立場を持った人のグループと考えることが正しいということがこれで分かってもらえたら嬉しいです。
 さて、一方「リベラル」派は、経済では、社会保障の充実や再分配の強化などを目指す「大きな政府」の立場に立っています。大きな政府とは、政府が人々の生活水準の保障や格差是正に積極的な役割を果たす立場です。そのため、政府介入を増やし、納税など国民負担も大きくし、福祉を厚くしようとする政府の形をとります。大きな政府は、政治哲学におけるリベラルの特色の一つである福祉権が反映されているということです。
 リベラル派は、憲法に関しては基本的に護憲派です。現行の憲法を保持する立場に立っています。特に憲法9条の改正には反発が強いです。また、外交・安全保障においては、自衛隊や日米同盟の役割を限定する立場で、アメリカとの二国間同盟よりも多国間の協調を好む傾向です。平和的に世界全体で分担し合おうという考えです。
 したがって、保守とリベラルの対立においてこう言えます。保守は、小さな政府を目指し、福祉を削減していく。防衛面ではアメリカと協力し、憲法も改正していこうという立場ことです。一方、リベラルは、大きな政府を目指し、高福祉国家を目指し、アメリカだけでなく世界と協力しようという考えを持ち、憲法改正には反対、護憲派という立場です。
 ここまでで既に分かってしまった方が大半かと思いますが、維持するから保守、変えるからリベラルではありません。小さな政府を目指していて、かつ、改憲派が保守。大きな政府を目指していて護憲派がリベラルというのが正しい理解です。
 勘の鋭い方はお気づきだと思いますが、リベラルで保守はあり得る話です。つまり、ここはリベラルに賛成だけど、あの話は保守に賛成という考えです。たとえば、大きな政府をよしとするけど、改憲すべきという考えです。この場合は、福祉の面ではリベラルだけど、憲法争論においては保守という立場です。現在、自民党憲法改正の立場でかつ社会保障を厚くしようとしているので、保守であり、リベラルという立場です。したがって、今後は、保守派リベラル派という二項対立よりもより一層、政党公約を注視していく必要があります。
 
 以上のように、リベラルか保守かといったどちらの側につくかが本質ではありません。自分の意見が各論でどんな意見に近いのか、さらに踏み込んで、政治家がどんな意見を持っているのかと見ることに注力していきましょう。
 

まとめ・その「リベラル」は思想?立場?で理解できる

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最後にわかりやすくまとめます。リベラルには哲学・思想としてのリベラルと立場としての政治的なリベラルが存在しています。政治的なリベラルは自分はどちらの側に立つかという立場を示すために使われています。
 したがって、リベラルには2つの側面があります。本質的な人文系の側面と社会系の面です。具体的には、政治哲学におけるリベラルは、人文系に属し、哲学、考え方、思考、思想に当たります。一方、政治使用における保守対リベラルのリベラルは政治的な立場、グループ、集団のことです。
簡単にまとめると以下になります。
 本来の意味(政治哲学)でのリベラル
:人文系・思想・哲学。
 個人の自由を尊重しながらも福祉の権利も併せ持っている。
政治上のリベラル(かつての革新とは異なる)
:福祉の肯定。大きな政府憲法9条護憲派
 ※(現在の)保守
:小さな政府を目指し、規制撤廃、民間主体。
 社会保障といった福祉には否定的。憲法9条改憲派